人工透析とは
慢性腎炎や糖尿病性腎症、腎硬化症などが悪化し腎臓機能が低下すると老廃物や毒素が体内に蓄積していきます。
腎臓機能が正常時の30%以下になると、慢性腎不全の病期の始まりです。
さらに病気が進行し、腎機能が正常時の10~5%に低下し、尿毒症になると生命の維持が難しくなってきます。
腎不全に陥った患者様が尿毒症になるのを防ぎ、生命を維持していくためには人工透析か腎臓移植するしか道はありません。腎臓移植はまだまだ社会的環境が整っていません。ほとんど人工透析を選択するのが現状です。
自己の腹膜を利用する腹膜透析(PD) があります。
富丘腎クリニックでは、血液透析を行っています。
人工透析は、老廃物等で汚れた血液を体外に導き出し、ダイアライザー(透析器)により血液中の老廃物(尿毒素)の排泄、電解質と酸性・アルカリ性のバランス維持、そして余分な水分の除去を行い、きれいな血液にして体内に戻します。
血液透析は一般的に週3回(1回につき3~4時間)行います。
腎臓の働き
- 体内で不要となった老廃物を尿に生成して体外に排泄
- 体内の水分調整
- 造血ホルモンを分泌して赤血球の増殖や成熟を促す
- 血圧の調整
- ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン等の電解質バランス調整
- ビタミンDを活性型ビタミンDにして、カルシウムの吸収を促進する など
以上のうち、透析療法で代行できるのは 1. 2. 5 で、他は薬剤投与などにより治療します。
ブラッドアクセス (シャント)について
血液を体外に導き出し、ダイアライザーできれいにしてから体内に戻す方法を「体外循環」といいます。 ブラッドアクセスとは、この「体外循環」に用いるための血液を出し入れ」する出入口のことです。
ブラッドアクセスのことをバスキュラーアクセスともいいます。
永続的・長期的な透析維持を可能にしたのが、〝内シャント〟という画期的なブラッドアクセス方法が確立されたからだ・・・といわれています。
シャントには内シャントと外シャントがありますが、アクセスする場所が露出しないので感染の危険性が少なく、動脈と静脈を体内(皮下)でつなぐ「内シャント」が一般的で主流を占めています。
シャントの必要性
透析を効率よく行うには透析中に一定の血流量を保つ必要があります。
腕から血液を体外に導き出し(脱血)、ダイアライザーで浄化した後たくさんの血液を腕の静脈に戻さなければなりません(返血)。
このため血液流量の多い静脈血管をあらかじめ確保する必要があるのです。
そこで手術をしてシャントを作ることになります。
通常利き腕の反対側の手首(腕時計をするあたり)で動脈と静脈をつなぎ合わせ、動脈の血流量の多さを利用して静脈の血流を増加させます。
(シャントの部位は患者様の状態によって最適な場所が選択されます)
シャントトラブル
- 血栓によって血管内側が詰ってしまう
- 血管が狭くなって血流の量が低下してしまう
- 血管が狭くなって腕や手・指が腫れたりする
- 細菌に感染してしまう (シャントが感染すると痛みと赤み、腫れがあり膿がでたりします)
- 同じ部位を穿刺し続けることにより起きる「シャント瘤」
シャントトラブルについて対しては、トラブルの状態によってシャント再建や、血栓溶解、血栓除去、バルーンによる血管拡張等々、治療が行われます。
シャントトラブルを予防する
<医療者が気をつけること>
- シャント肢で血圧を測定しない
- 同じ場所を穿刺しない
- 止血の際、過度 ・ 長時間圧迫しない
- 不完全な止血で血腫をつくらない
- 抑制帯をシャントにかけない
- 移送時、シャントをぶつけない
<患者様が気をつけること>
- シャント肢を下にしない(手枕厳禁!)
- 時計はシャント肢にしない
- 手首のサポーターはきつくないものを
- シャント部をぶつけたり、重いものを乗せない
- 冬の衣服は、上腕を圧迫しないようにしましょう
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